本研究は、戦後沖縄においてアロケアを受けた「かつての子ども」を対象として、彼らの生活と経験、自立過程における他者とのつながりの意味を愛情のネットワークの視点から考察した。 研究の結果明らかになったのは、以下の4点である。1)児童養護施設は、日々の生活保障の場であると同時に、「負」の側面も持っている。2)施設保育士は、退所者の相談相手であり、自立を助ける「重要な他者」である。3)施設退所後の安定した生活に必要な要因は、配偶者との良好な関係と親しい人との継続的な関わりであるが、ジェンダー差が認められる。4)本土復帰以前の沖縄の託児所は、「保育」の場というよりは「社会的養護」の役割を担っていた。
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