研究課題/領域番号 |
15K01773
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
保坂 遊 東京家政大学, その他部局等, 准教授 (90423996)
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研究分担者 |
青木 一則 東北福祉大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10382665)
和田 明人 東北福祉大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60231023)
那須 信樹 東京家政大学, その他部局等, 教授 (60300456)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 協働による日常的保育 / 芸術保育実践モデル / 臨床美術 / 表現領域のフレームシフト |
研究実績の概要 |
方法:H27年4月より、本取り組みにあたり4施設の協力を得て、臨床美術士が各園に常勤的な勤務体制で実践研究を推進した。臨床美術士は保育業務や事務業務の補助を担当しつつ、主に3歳児~5歳児に対して表現活動を実施した。内容は、報告者らが臨床美術の方法論を生かして感性や創造力を育む新たなプログラムを開発した。定例的に臨床美術士、保育士、本報告研究者らがディスカッションを行い、以後の方向性を確認しながら計画を進めた。 結果:(1)子どもの変容についての保育士アンケート:子どもの姿に変化が見られたとの回答は84.2%(n=19)であり、本研究の効果が示された。変化の具体的内容について5領域別に挙げる。①健康:活き活きした表情が見られ、身支度を自分で考え行動できるようになった。②人間関係:異年齢児との関わりが深まり、友達の良い所を伝えることが習慣づきつつある。③環境:季節感を感じ、自然物に対する興味が深まった。④言葉:自らの作品へ対する思いや、友達の思いに関心を持つようになった。⑤表現:自信を持って制作するようになった、自主的な活動時でも自分で描いて楽しんでいた等の報告がなされた。 (2)保育士の評価:現場保育士のヒアリングでは、表現活動に対して様々な視点からの質の高い実践、アイデアの提供、美的な展示等によって多くの刺激を得ている、子どもの表現活動への期待感が向上、保護者の高評価等の報告がされた。また、臨床美術士の個々の子どもに関わる姿、子どもの気持ちに寄り添った関わりから、安心して保育を任せられるとの評価を得た。 まとめ:保育現場へ臨床美術士が造形表現活動と保育補助という日常的な関わりを持ちながら保育士と協働していくことで、「表現活動の質的向上」、「子どもの姿の変容」、「保育士の表現活動への刺激」、「保育業務の援助」等、保育現場の現状に対して多くの効果を与えうる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画では、初年度は、プログラム開発及び、モデル1施設による実践研究を目標としていたが、協力施設の研究に対する全面的な理解と協力を得ることができ、4施設での実践を推進することができ、多くの実践データを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度(2年目)では、H27年度の実践を踏まえ、更に1施設の協力を得て、計5施設での実践研究を進めていく。また、保育士と臨床美術士の協働による保育実践の質的向上を目的としたPDCAサイクルの確立、実践の効果検証方法について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、研究者間による会議にWeb会議を多用したため、当初計上していた旅費を減額することができた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、研究推進のため、さらなる連携を密にする必要があり、会議等の増加に伴い、旅費等での使用を計画している。また研究分担者の追加を申請しており、承認されれば、新規研究者の旅費等への補充を計画している。
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