研究課題/領域番号 |
15K01774
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
内田 塔子 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (80329036)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国連・子どもの権利条約 / ユニセフ「子どもにやさしいまち」づくり / 子ども参加 / 自治体子ども施策 / 評価・検証 |
研究実績の概要 |
本研究は、国連・子どもの権利条約とユニセフが提起する評価項目を踏まえた「子どもにやさしいまち」づくりのための評価検証のあり方について、その類型化をめざし、日本を含む世界各地の自治体で行われている子ども施策の評価検証のあり方を分析し、その特徴・効果・課題を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は、「子どもにやさしいまち」づくりを推進している国内外の自治体の中から、川崎市(平成27年度からの継続)、韓国・光州広域市、ソウル市ソンボク区、インドネシア・ギャニャール県(平成27年度からの継続)を調査対象として、「子どもにやさしいまち」づくりの取組状況と、自治体子ども施策の評価検証方法の実際についてヒアリング調査を行った。 子どもにやさしいまちは、ユニセフが定義するように、地方自治の下で、子どもの権利条約を実現する取組であるが、インドネシアは、法律制定をはじめ、子どもにやさしいまちづくりを国家が強力に推進する点に大きな特徴があり、国家による「子どもにやさしいまち」認証制度を導入している国である。インドネシアを、「国のイニシアティブに基づく『子どもにやさしいまち』づくり」の1つのモデルとして検討できたことは、本研究課題を考察する上で大変意義深かった。 なお、2年目の今年度は、ここまでの研究成果と、2016年1月~2月に行われた『子ども施策全国自治体調査』の研究成果を踏まえて、日本における「子どもにやさしいまち」づくりの実施状況とその特徴について、川崎市を例にベルギー・インドネシアにおいて研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では3年目に予定していた韓国における「子どもにやさしいまち」づくりの実地調査を前倒しで実施できた点が大きい。特に、ソウル市ソンボク区は、韓国国内で初めて、ユニセフ韓国から「子どもにやさしいまち」の認証を受け、現在2度目の認証申請中の自治体である。ソウル市ソンボク区の現状と課題を分析できたことで、「子どもにやさしいまち」づくりにおける認証制度のメリットとデメリットの一端を明らかにすることができ、3年目以降の本研究の進展に大きく貢献すると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2年目までの実地調査が当初の計画以上に進展したことを受けて、次年度の調査計画について、調査対象国・自治体の追加も念頭に見直しを行う。特に、2年目までにインドネシア・韓国の国家機関、研究機関、自治体と緊密な関係構築ができたことで、3年目以降に追加調査を行うことも念頭に置いている。文献調査については引き続き計画通りに継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年目は当初の予定以上の国内外における調査研究を遂行できたが、1年目の積み残しであるユニセフ本部への調査研究が、ユニセフ本部内の担当者異動により、2年目も遂行できなかったことが大きい。
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次年度使用額の使用計画 |
ユニセフ本部への実地調査については、調査内容全体を見直し、調査対象の変更も含めて検討を行う。新たな調査対象としては、2016年度末にリリースされた"Toolkit for UNICEF National Committees NEW!"の担当者(ユニセフ・スイス)、「子どもにやさしい」地方行政10か年行動計画を遂行中のネパールを念頭に置いている。
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