本研究は、国連・子どもの権利条約(以下、条約)が求める「子ども参加」を位置づけた自治体子ども政策の評価検証の実施状況について、世界的に見ても多様な進展のあるアジアに焦点化し、アンケート調査・ヒアリング調査により、日本・インドネシア・韓国・ネパール等の事例の比較分析を行い、特徴と課題を明らかにすることを目的としている。 補助事業期間を1年延長した2019年度は、本研究の柱の1つで、前年度に予定していながらネパールの国内事情により実施できなかった「子どもにやさしい地方行政」(Child Friendly Local Governance: CFLG)の取り組みに関する追加調査を実施することと、研究成果のとりまとめを目的とした。追加調査は、ネパール側との調整の結果、2020年3月に実施することとなっていたが、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に直面し、予定していた追加調査は断念した。よって、前年度までの研究を以て本研究課題の研究成果とし、研究成果を公表するためにホームページ「子どもにやさしいまち・コミュニティづくり情報ページ」を作成した。 本研究により、条約が求める「子ども参加」を位置づけた自治体子ども政策の評価検証方法には様々あり、少なくともアジア地域においては、①国が評価指標を作成し、指標を達成した自治体を表彰していく方法(インドネシア・ネパール)②ユニセフ国内委員会が自治体を認証評価していく方法(韓国の自治体で徐々に拡大進展)③自治体が独自に子ども政策の評価を行う方法(日本の一部自治体、韓国の一部自治体)が実施されていること、またそれぞれについて課題があることを明らかにすることができた。日本をはじめ各国事例のさらなる分析については、基盤研究(B)「子どもの権利を基盤とした自治体子ども政策の評価検証に関する実証的研究」に引き継いで研究を進めている。
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