研究課題/領域番号 |
15K01776
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
飯村 敦子 鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (70326982)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ムーブメント教育 / 子育て支援 / 包括的支援 / 子育て支援者 / エンパワメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、乳幼児とその母親を支えるムーブメント教育による子ども・子育て支援プログラムを開発・適用すると共に、母親と子育て支援巣のエンパワメントという視点からその効果を検証することである。 平成28年度は、動的な環境を活用した子育て支援を展開する豪州(NSW)のThe Infant's Home(子どもたちの家)において現地調査を行った。The Infant's Homeは、シドニー郊外にある幼児早期介入センター、福祉サービス、医療サービスを統合させた複合的なサービス施設である。その歴史は非常に古く1874年から母親と子どもへの支援が始められた。1972年連邦政府から資金援助を得て、NSWではじめて長時間保育施設を設立した。本施設では、小児科医療センターを併設し、医療面からの支援を行う一方で、シドニー西部地域の様々な幼児教育施設と連携するための幼児教育・保育センターも設立された。インクルシーブ保育が保障されており、特に、OT・PT・STなど専門職が保育中に子どもの中に入って必要な支援を展開するシステムは、我が国においても今後検討すべき有効なシステムであると考える。また、本施設において展開されてきた母親への育児支援を歴史的な背景と共にその変遷を明らかにすることで、我が国における子ども・子育て支援のヒントを得ることができた。 さらに、ムーブメント教育による子ども・子育て支援の意義について、支援者の専門性の向上、エンパワメントの側面から分析するために調査を実施した。その結果、保育者がムーブメント教育を学ぶことで、保育の専門的知識と技能、保育実践力、自己有能感の各領域において「自身の向上」を実感していることが示された。今後も継続して詳細に分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画当初は、英国における子育て支援の実際に関する現地調査を行う予定てあった。しかし、予定していた現地のプレイグループとの調整が難航した。そこで、歴史的にも古く、豪州(NSW)における母子支援に実績のある総合施設(The Infant's Home)の現地調査を行った。本施設での現地調査は当初予定されていなかったが、本施設の母子支援に関する実績は、本研究のムーブメント教育による子ども・子育て支援の意義を検討する上で非常に意義あるものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成29年度は、現在進行中のムーブメント教育による子ども・子育て支援の地域での実践研究を通して、今後の支援に活用できるプログラムの提示と普及を推進する予定である。 また、平成27年度、平成28年度の研究成果を基に、本研究の目的であるムーブメント教育による子ども・子育て支援が母親と子育て支援者に与える影響を詳細に分析し、その効果について検証する。加えて、保育所、幼稚園、認定子ども園、地域を基盤とする事業所などで活用できるプログラムの構築を図り普及する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、国内調査研究に伴う研究旅費について、研究代表者が現地に赴くことなく、ネット回線を活用して研究打合せが行えたことが大きな要因である。また、ムーブメント教育による子ども・子育て支援の実践に必要な遊具環境について、その内容を本年度に慎重に検討したことにより、時間を要したことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
国内調査研究については、早い時期に実施する。また、子ども・子育て支援に必要なムーブメント遊具については、その選定について検討済みなので、今後支出予定である。
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