研究実績の概要 |
富山県内の幼保連携型認定Aこども園の園庭の遊びの質を5領域の側面からとらえることを試みた。保育教諭が教育・保育要領(平成26年告示)5領域の内容と実際の遊びを対比させ,研究者がその遊びが行われた場に着目して考察した結果, 幼児期の3年間にわたり指導する事項全53項目の内,29項目が挙がり,年間を通して,人間関係,健康,環境の領域にかかわる内容が多く挙がった。遊び場は17か所に集約され,特に,感覚遊び,造形遊び,作った物を使用するごっこ遊び,全身を使った遊びなどができる泥山付近と, 集団で鬼ごっこやボール遊び,雪遊びなどができる場において, 内容の項目やカウント数が顕著に表れた。 同様に,全国115園の認定こども園のアンケートにおいて遊びの質をとらえるため,一年を通じて幼児が「豊かな経験」をしていると保育教諭が感じた遊び1事例と援助の記述を分析した結果,「砂・水・泥」を使った遊び,作る・創作・工夫がみられる遊び,ごっこ遊びや真似る遊びが多く挙がり,特に砂場や土の地面,手洗い場がその遊びに関連した。年齢と場所,時期と場所についての関連性はみられなかった。9割以上が器具や道具を使用し,援助については,「一緒に考える」「思いを受け止める・応える」との記述が多かった。遊びの経験を同要領(平成29年告示)5領域の内容からみると,人間関係,環境の領域の項目が多く挙がった。 これらAこども園と全国のアンケートでは,いずれも「友達と楽しく活動する中で,共通の目的を見いだし,工夫したり,協力したりなどする」経験の項目が筆頭に挙がったことから,本項目と園庭環境,保育教諭の援助には何らかの相関があるのではないかと推察された。 このように,園庭の遊びの質を5領域の内容からとらえる際は,保育教諭の遊びについてのとらえ方,遊び前後の流れ,遊びの履歴,園のカリキュラムなどを考慮する必要があると考えられる。
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