研究課題/領域番号 |
15K01779
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
花井 忠征 中部大学, 現代教育学部, 教授 (70164879)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 幼児 / ビジネス顕微鏡 / 固定遊具 / 教育環境 / リスク |
研究実績の概要 |
本研究は、幼稚園管理下における幼児の災害を未然に防ぎ、安全な園生活を送ることができることを目指して、幼児の行動変容、集団変容、運動の質をリアルタイムに測定、可視化・定量化できるビジネス顕微鏡を日本で初めて幼児に装着し、園舎環境、園庭環境、固定遊具環境などの教育施設環境の点検とリスクの特定・分析・評価をする新たな方法を開発することを目的として実施している。本研究により、幼児の個人の行動軌跡や集団での行動軌跡から教育施設のリスクとハザードを特定することが可能となり、不適格施設や箇所の点検評価、整備改善に大きく貢献する、意義ある研究である。 平成28年度の研究実績は、当初、春期4月~5月、夏期7月、秋期11月の3期について年少(3歳)児・年中(4歳)児・年長(5歳)児の3学年の測定を実施する計画であったが、平成27年度同様に測定機器のレンタル契約の成立に相当な時間を要してしまったために、春期、夏期の測定を実施することができない事態となってしまった。その結果、測定が秋期、冬期にずれ込んでしまったが、公立幼稚園2クラス、私立幼稚園4クラスにおいて171名の園児と8名の担任の測定を実施し、園内生活における対人関係、対話状況、身体リズムによる行動量、園内行動の位置情報などのビッグデータの収集をすることができた。その結果は、平成27年度の結果と合わせて年度内に学会等で公表するとともに、現在、昨年度の蓄積データと合わせて分析を進め、研究成果の公表の準備を進めているところである。 研究成果の公表は、原著論文2編(内1編 スポーツ健康科学研究;学会奨励賞)、学会発表4編を行った。 平成29年度は、2年間の測定器契約のトラブルを解消し、春期からの測定を可能にするために、予算の前倒し申請をして、レンタル契約を平成28年度内にすまし、4月から測定器を確保できるように改善した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27・28年度とも測定機器のレンタル契約の遅延から春期、夏期の測定が実施できず、学年初めや夏季炎天下における遊具使用状況や園内行動を把握することができていない。そのためこの時期のデータの蓄積がなく、年間を通しての幼児の教育環境下における行動リスクを把握できていない。そのため、当初の研究計画通りに遂行されていないために区分に示した通り「やや遅れている」とした。 研究最終年度の平成29年度は、測定器具入手の遅れが2年続いてしまったことを考慮して、予算の前倒し申請を行い、平成28年度内にレンタル契約を締結し、4月から測定を実施できるように改善した。
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今後の研究の推進方策 |
研究年度最終年である平成29年度は、ビジネス顕微鏡のレンタルが学年初めの4月から可能となったために、春期(4月下旬~5月上旬)、夏期(7月)、秋期(9月~10月)の3期について、協力を得ている公立幼稚園、私立幼稚園にて測定を実施していく。 測定の方法は、前年度までと同様の方法で実施し、対象児の横断的、縦断的分析が可能となるようにする。また、春期、夏期のデータ収集を通して、年間の行動データを蓄積する。 研究最終年度であるために、ビッグデータの解析を早期から取り組み、遊具利用を伴う自由遊び内における幼児の個人の行動軌跡、対人関係の変化、集団構成の変化、行動軌跡、遊具使用実態の変化などから幼教育施設におけるリスクとハザードを検証し、不適格施設や箇所の点検評価、整備改善の指標を検討していく。その研究成果は、研究実施年度内に可能な限り学会での発表および原著論文として公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度測定を研究計画通り春期より円滑に進めるために、次年度借用測定機器の契約を平成28年度末までに完了しなくてはならないために、予算の前倒し支払い請求100万円を行い、請求額が認められた。測定機器の契約は年度末に締結したが、支払いが大学の事情により平成29年4月に入ってからとなり、次年度使用額が100万円と表記されることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
本来平成28年度中に執行されるべき予算であったが、大学内の事務手続きの事情により平成29年度に入ってからの支払いとなり、4月7日に業者に999972円の支払いが完了している。
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