本研究は、幼稚園管理下における幼児の災害を未然に防ぎ、安全な園生活を送ることができることを目指して、幼児の行動変容、集団変容、運動の質をリアルタイムに計測でき、可視化・定量化できるビジネス顕微鏡を日本で初めて幼児に装着し、園舎環境、園庭環境、固定遊具環境などの教育施設環境の点検とリスクの特定・分析・評価をする新たな方法を開発することを目的として実施した。本研究により、幼児の個人の行動軌跡や集団での行動軌跡から教育施設のリスクとハザードを特定することが可能となり、不適格施設や箇所の点検評価、整備改善に大きく貢献する、意義ある研究であると考える。 平成29年度は、27・28年度に測定機器のレンタル契約の成立に相当な時間を有してしまったために、計画していた春期・夏期の測定ができない事態が続いた。これを解消するために、平成29年度は助成金の前倒し支払い申請を行い、28年度内にレンタル契約を済ませ、4月から測定を開始することができた。これにより、新学年開始時の幼児の行動を測定することができた。 平成29年度の測定実績は、4月(年長2クラス:1日)、5月(年中2クラス:2日間)、7月(年中2クラス、年中2クラス、年少2クラス:4日間)、11月(年長2クラス、年少2クラス:2日間)に合計400名の園児のビッグデータを測定することができた。 過去2年間と平成29年度の成果を合わせて、原著論文1編(印刷中)、学会発表4編にて公表した。また、現在も論文を作成しており、随時公表していく。
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