保育所・幼稚園に通う2歳から6歳の幼児を対象として、新版K式発達検査2001を実施して、幼児の発達の特徴を調査・研究した。その結果、第一に、一般幼児(238名)はDQ(発達指数)の分布がほぼ正規分布になるが、L-S DQ(言語・社会群の発達指数)とC-A DQ(認知・適応群の発達指数)の群差、またT(上限:最も高い通過年齢)-B(下限:最も低い不通過年齢)検査項目の差には非常にはばらつきが大きいことが明らかとなった。L-S DQとC-A DQの差は3歳児に発達の凸凹が大きく、3歳児が5・6歳児より有意に大きい傾向がみられた。第二に、定型発達幼児と神経発達障害と診断された幼児の間では、両者に発達の遅れに関して有意な差はあったが、偏りに関しては有意な差はなかった。第三に、T-B差に関しては診断、有意な差が見られた(F(4、233)=7.66、p<.001)。多重比較では知的能力障害確定診断児と注意欠如・多動症確定診断児間では有意な差があった。 幼児の発達特徴を明らかにすることは、発達障害の診断をより精巧にできる。現在増え続けている知的能力障害を伴わない発達障害幼児の診断の在り方への検討に提言できる。 親子の関係性改善の心理学治療では、個別と集団にアプローチした。個別では、6組の親子を対象にして、9分割統合絵画法を活用して継続面接し、集団では、神経発達障害の特性を持つと診断された幼児の母親(59名)を対象にして、継続グループカウンセリングを実施した。幼児の発達の指数の伸び、母親の育児不安の軽減、子どもへの関わりに良好な態度変容が認められた。問題解決に焦点化したグループカウンセリングは短期でも効果が明らかであった。
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