研究課題/領域番号 |
15K01786
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
江原 朗 広島国際大学, 医療経営学部, 教授 (30507215)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 救急搬送 / 小児 / 地理情報システム / アクセス / 病院 / 地域小児科センター / 集約化 |
研究実績の概要 |
平成27年度の解析で、救急車が現場に到着する時間は平均7から8分であり、救急搬送の延長は現場に到着してから医療機関に到着するまでの時間によるところが大きいことが判明しました。 そこで、平成28年度は小児の患者の居住地から地域の基幹となる病院小児科までの距離と自動車による所要時間を解析することにしました。 まず、消防本部と小児の最多搬送医療機関との直線距離を求めました。解析方法は、球面上の三平方の定理を用いて解析しました。この結果、距離の中央値(全国値)は平日日中2.71km、日曜日中3.59km、平日・日曜夜間4.22kmでした。 そして、各地域の基幹となる病院小児科と各居住地との直線距離を計測することにしました。基幹となる病院小児科の解析には、2種類の病院小児科を用いました。一つは日本小児科学会が提唱する中核病院小児科・地域小児科センター(全国に501存在)であり、他は診療報酬上小児入院医療管理料の1から3を徴収する病院です。 中核病院小児科・地域小児科センターと各市町村の住民の居住地の緯度経度の平均となる地点との距離を計算した結果、これらの病院から20㎞圏内に小児人口の9割以上が居住していることが判明しました。しかし、小児入院医療管理料1から3を徴収する常勤小児科医が5名以上勤務する病院と各小児の居住地(街区:国土を約20万区域に分割したもの)との距離を計測すると、8割強の小児が20㎞圏内に住むだけであることが判明しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画では、消防本部の救急搬送におけるおよその搬送距離の解析と,小児の居住地から病院小児科までのおよその距離を解析することを予定しました。 まず、各消防本部が最も多く小児を搬送する医療機関の搬送数のシェアが平成22年から26年にかけてどう変化したかを解析しました。また、地図情報システム(GIS)を用いて、消防本部と最も小児の搬送数が多い医療機関との距離の測定をしました。 また、国土を約20万に分割した街区の小児人口、街区の所在する緯度・経度の情報と地域の中核となる病院小児科との距離をGISにより計測し、搬送の目安となる直線距離と各距離圏に居住する小児の比率を求めました。さらに、各街区と地域の中核となる病院小児科との自動車による移動時間を国土交通省の「交通センサス」を用いて推計しました。 今年度の研究は、予定と比較しておおむね順調に進展しているといえます。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は本研究助成の最後の年度となります。救急搬送においては、救急車が患者の所在する現場に到着する平均時間は7から8分程度に過ぎません。搬送時間の延長は、主に現場から医療機関に到着するまでの時間によるところが大です。 そこで、最寄りの中核病院小児科・地域小児科センターへ各街区から搬送する際の自動車による移動時間を道路の種類、幅員からによる平均時速から地理情報システムから計算しようと思っています。また、小児入院医療管理料1から3を徴収する常勤小児科医が5名以上勤務する病院へ各街区(国土を約20万区域に分割したもの)から自動車によって移動する際の所要時間についても解析を進めたいと思っています。 こうして、小児が居住する街区から基幹となる病院小児科への自動車による移動時間を解析し、基幹病院小児科へのアクセスに関する3年間の知見をまとめたいと思います。
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