年齢,性及び個人の能力に応じた幼児の敏捷性を評価するテスト(連続選択反応時間テスト)を作成するために,平成29年度は,テストの性差及び年齢差を検討した。対象者は,3歳男児14名,3歳女児20名,4歳男児17名,4歳女児14名,5歳男児18名,5歳女児14名であった。方向指示表示パターンが試行間で同一であれば記憶効果により方向指示を事前に予測される可能性がある。よって,テストでは5つの表示パタ-ンを利用した。5つの表示パターンは,それぞれ8ステップであり,前,後,左,右,斜めの8方向への移動が全て1回ずつ指示されるように組み合わせた。またシートからシートへの移動は必ず隣接したシートへの移動となるように設定した。対象者は,表示パターンに従い,各シートを移動した。対象者は前方に配置されたノートパソコンのディスプレイを注視した。ディスプレイ上には反応方向を連続呈示するムービーを映した。対象者はディスプレイ上に呈示された方向に従い,指定されたシートにステップした。各パターンにおいて刺激呈示からシート着地までの時間の総和を算出し,5パターンの平均値を連続選択反応時間とした。 対応のない2要因分散分析の結果,有意な交互作用は認められなかった。性要因に有意な主効果が認められず,年齢要因に有意な主効果が認められた。多重比較検定の結果,男女児ともに連続選択反応時間は3歳児は5歳児よりも大きく,男児は4歳児が5歳児よりも大きく,女児は3歳児は4歳児よりも大きかった。 以上,連続選択反応時間テストには性差がないが,年齢差は男女間で異なる傾向にあることが示唆された。
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