子ども期の放射線被ばく後の長期的影響として、がんの発生がよく知られて、特に白血病のリスクが高くなる。しかし、その発がん機構がまだ不明である。これまでに、我々は、こども期に被ばくしても、成体期早期からカロリー制限を行うことによって、リンパ球性白血病の発生が有意に低減できることをマウスを用いて実験的に証明した(図1)。本研究では、同マウスモデルを用いて、1.子ども期の放射線被ばく誘発リンパ球性白血病の発生メカニズムの検証2.成体期からのカロリー制限による白血病低減機構の解明を目的とする。 H29年度は概ね年度計画に従って研究を進めた。 1. 前年度に引き続き、確立した免疫染色方法でB細胞白血病の病理確認を行った。また、タイムコースサンプルに関して、1タイムポイント3~6匹を採材しても、解剖所見ではB細胞白血病前がん病変の兆候を見られにくいことを判明して、白血病では進行が早く、担がん寿命が短いことが示唆された。 2. B細胞白血病の次世代シークエンス解析を進めて、全エクソームのデーター処理方法を検証し、変異遺伝子の統計学的検出を行った。
|