本研究では,強力な抗菌活性を示すピペラジン酸含有環状ペプチド類について,構造活性相関の解明を指向した全合成を検討した.独自に開発したSc(OTf)3を触媒として用いたピペラジン酸誘導体のアシル化反応により調製したピペラジン酸のジペプチドに対し,順次酸クロリドを用いてペプチド鎖を伸長することで,所望の4連続ピペラジン酸構造の構築に成功した.続いて,両末端に対応するアミノ酸を縮合することで6残基ペプチドへと誘導後,脱保護を経て環化前駆体とした.高希釈条件下でのマクロラクトン化により目的の環状構造の形成を行うことができ,最後に全ての保護基を除去することで,ピペリダマイシンF提唱構造の合成を達成した.
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