研究課題/領域番号 |
15K01800
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
開 祐司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40144498)
|
研究分担者 |
三浦 重徳 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (70511244)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | コンドロモジュリン / 血管新生抑制因子 / 軟骨 / エンドプロテアーゼ / アンカー分子 |
研究実績の概要 |
本年度は、①免疫沈降によるChM-Iアンカー候補分子の探索および②ChM-I N末端領域切断酵素活性をモニターするためのアッセイ系の構築について実施した。①については、これまでの予備実験結果を踏まえ、尿素バッファーを用いた抽出条件の最適化を行った。まず、尿素濃度を2-8 Mに段階希釈した抽出バッファーを用いて、ラット肋軟骨よりChM-Iを抽出した。これらの抽出液とドメイン2に対するChM-Iモノクローナル抗体(hCHM-05抗体)を固定化したビーズを用いて免疫沈降を行い、共沈タンパク質の数および収量のバランスを考慮して、最適な抽出バッファーを決定した(2 M urea, 50 mM Tris-HCl (pH7.4), 1 mM EDTA)。また、免疫沈降中に抽出したタンパク質が非特異的に再会合する可能性も考慮し、stringencyの異なる3種類のバッファーを用いて免疫沈降を実施した。それぞれの免疫沈降条件において共沈タンパク質8-10種が検出され、これらをMS解析に供して候補分子約10種を同定した。いずれの免疫沈降条件においても共通して同定された分子についてはFLAG融合タンパク質を調製し、ChM-Iとの直接的なタンパク質相互作用解析を進めている。②については、hCHM-05抗体を用いてマイクロプレートにFITC標識されたChM-Iを固相化するための条件を決定した。固相化されたChM-Iが目的酵素により切断を受けると、FITC標識を含むN末端フラグメントが溶液中に遊離されるため、溶液の蛍光測定により切断活性をモニターすることができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、ChM-Iアンカー分子複合体の軟骨組織からの抽出条件を最適化し、候補分子数種をMS解析で同定することができた。再現性も取れており、なかには異なる免疫沈降条件において共通して認められる分子もあった。候補分子の発現パターンなども考慮し、有力な分子についてはタグ融合タンパク質を調製するなど、来年度に向けての準備も整っている。切断酵素活性をモニターするためのアッセイ系については、これまでに確立したELISAシステムを活用して順調に進行中であるが、ChM-Iの標識方法や切断活性の定量的な評価等、詳細な条件検討が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
ChM-Iアンカー分子の候補の探索は、免疫沈降においてChM-Iと直接的なタンパク質相互作用が認められることを第一段階の目標として行う。相互作用が認められた場合に限り、ノックダウンなどによる機能解析を行う予定である。また、切断酵素の同定については、現在、軟骨細胞培養系においてChM-Iの明瞭な切断が確認できていない。培養条件を検討する等して改善が認められなければ、生化学的手法により培養液から目的酵素を同定することは困難であると考えられる。その場合、軟骨組織から調製したcDNAライブラリーをもとに発現クローニングによって切断酵素をスクリーニングする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
切断酵素活性をモニターするために利用するChM-Iの標識条件について、一部未検討項目があるため。
|
次年度使用額の使用計画 |
ChM-Iの切断活性をより高感度に検出できるようなFITC以外の蛍光色素の購入に当てる。
|