研究課題
沖縄県国頭郡本部町付近の海岸で採集した海洋ラン藻抽出物にアルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性を上昇させることが明らかになった。そこで、採集したラン藻抽出物について、分離・精製を進めたところ、既知のリポペプチドとその構造類縁体を単離した。ALP上昇活性について測定したところ、既知のリポペプチドについてはALP上昇活性が認められたが、その類縁体についてはALP上昇活性が認められなかった。次に得られたリポペプチドが石灰化を促進するか検討した。石灰化の判定には、カルシウム塩を染色するアリザリンレッドS溶液を用いた。その結果、骨芽細胞の分化促進実験と同様にリポペプチドを処理した群はアリザリンレッドS染色の増加が認められた。そこで、合成したリポペプチドを用いてALP活性を測定したところ、合成したリポペプチドではALP活性の上昇や石灰化促進作用は認められなかった。この結果は、単離したリポペプチドに含まれる微量成分がALP活性の上昇や石灰化促進作用を示している可能性を示唆していることから、現在リポペプチドに含まれる微量成分の分離・精製を行っている。その他にも糸満市喜屋武付近の海岸から採集した海洋ラン藻から新規環状ペプチドを単離したが、ALP活性の上昇や石灰化促進作用は認められなかった。また同じく喜屋武付近の海岸から採集した海洋ラン藻から新規環状ペプチドを2種類単離したが、得られたそれぞれの化合物はALP活性の上昇や石灰化促進作用を示さず、強い細胞毒性を示すことが明らかとなった。
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