研究課題
ネオエキヌリンAはパーオキシナイトライト(ONOO-)による神経細胞死を抑制する。本研究は、ネオエキヌリンAの神経保護機構を解明することを目的とした。これまでにファージディスプレイ法を基盤とする手法により、ネオエキヌリンAが直接作用する標的タンパク質として、chromogranin B(secretogranin-1)とglutaredoxin-3を得ている。昨年度は水晶発振子マイクロバランス(QCM)法を用いて、これらのタンパク質とネオエキヌリンAの結合を確認している。本年度はプルダウン法によりネオエキヌリンAとタンパク質の相互作用を解析した。ビオチン化ネオエキヌリンAをストレプトアビジンビーズに固定化し、chromogranin Bとの結合を解析した。その結果、ネオエキヌリンAとchromogranin Bの結合が確認された。また、昨年度から細胞のchromogranin Bとglutaredoxin-3をノックダウンし、ONOO-に対する感受性がどのように変化するか調べている。siRNAを用いてPC12細胞のchromogranin Bとglutaredoxin-3をノックダウンし、神経成長因子によって神経細胞へと分化させ、SIN-1(ONOO-ドナー)に対する感受性とネオエキヌリンAの保護効果を調べた。その結果、chromogranin BのノックダウンによりSIN-1に対する感受性が下がり、glutaredoxin-3のノックダウンではSIN-1に対して感受性が上がることが示唆された。また、chromogranin Bとglutaredoxin-3のノックダウンは、ネオエキヌリンAの保護作用に影響を与えなかった。以上の結果から、ネオエキヌリンAはchromogranin Bに結合し、その機能を阻害することでONOO-に対する感受性を下げていることが示唆された。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 82 ページ: 442~448
10.1080/09168451.2018.1433018
https://lab-navi.azabu-u.ac.jp/v-01-chemi/