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2015 年度 実施状況報告書

LC/MS/MSを用いた次世代メタボロミクス研究のための基盤技術開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K01812
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

津川 裕司  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (30647235)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードメタボロミクス / 質量分析
研究実績の概要

質量分析において,もっとも解析が難しいとされていたdata independent MS/MS acquisition(以下,DIA法)より得られるデータを解析するプログラム,MS-DIALの開発を行った.これにより,LC/MS/MSで取得される代謝物由来イオンすべてに対してMS/MSを対応付けることが可能となり,分析におけるMS/MSスペクトルの網羅性を担保することができるようになった.また,生体を構成する主要なグリセロ脂質に対するin silico保持時間・MS/MSを全77,962分子種に対して構築し,15分の分析時間と開発した同定戦略により合計1,023化合物を藻類から同定することに成功した.さらに,9種類の藻類について,同定した1,023個の化合物それぞれの有無0, 1の値を持った「脂質フィンガープリント」を用いて分類した結果,古典分類学の系統樹と完全に一致する結果を得た.当時,藻類株UTEX2341はクロレラ種に属するかナンノクロロプシス種に属するか議論が分かれていたが,脂質フィンガープリントによる系統樹から明確にクロレラ種に属することが示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

共同研究者の協力もあり,計画通りに研究が遂行している.

今後の研究の推進方策

昨年度までは,質量分析生データより代謝物由来ピークを円滑に抽出してデータベースと照らしあわせ,化合物同定を精度高く行うためのプログラム開発を行った.一方,メタボロミクス最大の難関は,未知代謝物由来ピークの構造推定である.「メタボローム」として定義されている代謝物データベースはおよそ20万種類の低分子化合物を登録している一方,標準品によるマススペクトルの確認が行われているのは5,000弱と非常に少ない.そこで本年度では,未知スペクトルから組成式を予測し,複数得られる構造異性体候補の中から「理論的に」MS/MSスペクトルと最も合致する構造を抽出することで,正解構造を見つけ出すプログラムの構築にとりかかる.

次年度使用額が生じた理由

当該研究計画ではもともと,初年度に8割の予算割り振りをしていた.しかしながら,研究の進行に伴ない,次年度に持ち越すことが効率が良いと判断し,およそ30万円の使用額が生じる結果となった.

次年度使用額の使用計画

今年度開催されるアメリカ質量分析学会の旅費,および投稿予定にある査読論文の校閲費に使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] MS-DIAL: data-independent MS/MS deconvolution for comprehensive metabolome analysis.2015

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Tsugawa, Tomas Cajka, Tobias Kind, Yan Ma, Brendan Higgins, Kazutaka Ikeda, Mitsuhiro Kanazawa, Jean VanderGheynst, Oliver Fiehn, Masanori Arita
    • 雑誌名

      Nature Methods

      巻: 12 ページ: 523-526

    • DOI

      10.1038/nmeth.3393

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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