研究課題
14アミノ酸からなるPxt-5 (FIGALLGPLLNLLK-NH2)ペプチドの、50%TFE存在下での立体構造を調べた。測定は500Mzのブルカー社製NMRで行いDQF-COSY, TOCSY, NOESY等の多次元NMRを用いて、構造解析を実施した。構造計算はCNSプログラムを利用し、シミュレーテッド・アニーリング(SA法)を用いた。得られたペプチドの構造から、本ペプチドはN末から7アミノ酸程度は明確な構造を取らないランダムコイル様の構造を取るが、8番目のプロリンからC末端まで典型的なアルファーヘリックス構造を取る事が判明した。このアルファーヘリックス構造は、ロイシンが周囲を取り囲む非常に疎水性の高いへリックスであった。TFE等の有機溶媒は、膜等の疎水環境を模倣するために良く用いられる。このことから、膜存在下では、本ペプチドのC末端のへリックスが膜に突き刺さると考えられる。あるいは水溶液中ではこのへリックスを利用したバンドル構造を形成することで、規則的な会合(凝集)を起こすと想定される。一方、脂質ナノディスクとは、主にアポリポプロテインA-I(apoA-I)と各種リン脂質から形成されるディスク状のナノ粒子であり、生体内において脂質輸送を担うHDL を再構成したものである。そこで、通常用いられるapoA-I ではなく、Pxtペプチドに注目した。特にアルファーヘリックス構造形成を行うPxt-5に注目した。その結果、臨界会合体形成濃度(CAC)以上の濃度のPxt-5 とDMPC リポソームを直接混合すると、わずか2 分程度で濁度が低下し、脂質を速やかに可溶化させて脂質ナノディスクを形成することが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
Pxt peptidesの物理化学的性質の解明を、順調に実施してきている。
概ね申請書の内容に従い、実験を実施していく。
細胞培養・ペプチド合成・NMR等の構造解析のため、次年度は消耗品等の支出増が予想できるため。
細胞培養・ペプチド合成・NMR等の構造解析のため、次年度は消耗品費として計上。
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Journal of Venomous Animals and Toxins including Tropical Diseases
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J. Biochem.
巻: 159 ページ: 619, 629
10.1093/jb/mvw003