研究実績の概要 |
ネッタイツメガエルは、両生類ではいち早くゲノム解析が修了した事から、独自に開発した組織をそのままMALDI-MSの測定に供する分析を実施し、ゲノム解析データとマッチングした。その結果12種類の皮膚由来の分泌性ペプチドPxt-1~12を単離した。ペプチド合成を行いその物性を調べたところ、表面張力低下能、グラム陰性・陽性・酵母等に対する抗菌活性、赤血球に対する溶血活性、肥満細胞に対するヒスタミン遊離作用を示した。特に泡立ち活性の強いPxt-2, 5, 12とその逆配列のreverse Pxt-2, reverse Pxt-5, reverse Pxt-12について物理化学的特性を円二色性分散計(CD)で調べたところ、50% TFE中でいずれもアルファヘリックス形成を示した。Pxt-5とreverse Pxt-5は、最も強い表面張力低下能を示した。さらにPxt-2, 5, reverse Pxt-5は、高濃度ではミセル形成を示した。Reverse Pxt-5はHaCaT細胞に対し、IL-8とHMOX-1(heme oxygenase)の強い発現誘導作用と細胞毒性作用を示した。Pxt-5 (FIGALLGPLLNLLK-NH2)の、50%TFE存在下での立体構造を500MHz NMRで調べた。本ペプチドはN末から7アミノ酸程度は明確な構造を取らないランダムコイル様の構造を取るが、8番目のProからC末端まで典型的なアルファーヘリックス構造を取る事が判明した。ナノディスクは、血中の高密度リポプロテイン粒子を人工的に再構成したディスク状の形態を持つ粒子であり、通常はHDLの主要タンパク質であるApoA-Iとリン脂質から構成される。Pxt-5とそのアナログペプチド(FIQALLQWLLELLK-NH2)を合成し調べたところ、ナノディスク形成能を有することが判明した。
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