研究課題/領域番号 |
15K01815
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
中村 努 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10357668)
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研究分担者 |
上垣 浩一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (00356544)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | N-アセチルD-アミノ酸脱アセチル化酵素 / 組換えタンパク質発現 |
研究実績の概要 |
本研究では、N-アセチル基を加水分解する2種類の酵素DacおよびDAAをターゲットとして研究計画を立てた。平成29年度はDAA(N-アセチルD-アミノ酸脱アセチル化酵素)の一種ndaDについて成果をあげた。 超好熱性古細菌Pyrococcus abyssi由来ndaD (Pab_ndaD)の金属イオン選択性と基質(N-アセチルD-アミノ酸)選択性を調べた。その結果、金属として銅、ニッケル、コバルトを用いたときに高活性を示すことが明らかになった。さらに基質としては疎水性の強いアミノ酸が適していることがわかった。このことから、Pab_ndaDの活性部位が疏水的な環境にあることが推認できる。しかしこの件に関しては、論文化に耐えうるような詳細な解析が遅延している。 さらに平成29年度は、Pab_ndaDを用いて大腸菌内での組換えタンパク質の発現を制御する研究も行った。Pab_ndaDは、プラスミドを用いて発現させるとほとんどが不溶性の封入体として得られる。しかし、Red-mediated recombination systemを用い大腸菌染色体中に1コピーのPab_ndaD遺伝子をT7プロモーターとともに挿入することにより、組換えタンパク質の一部を可溶性として得ることができる。このこと自体は以前から明らかにしていたことであるが、平成29年度にはその定量的解析を進めた。さらに染色体に挿入する遺伝子のコピー数の影響を追究したが、Pab_ndaDは不溶性発現が多いためコピー数の影響を解析するには向かないということが明らかになり、GFPを用いて解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DAAに関しては、金属と基質特異性に関してはデータを取得しただけであるが、組換えタンパク質発現については論文投稿した。その点で、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
DAAの結晶構造解析において金属周辺の電子密度が明瞭になる努力をすべきであると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、D-アミノアシラーゼの基質特異性に関する実験をするとともに、本酵素の発現系についての論文を投稿した。ところが、レフェリーから大幅な追加実験を要求されたため、その対応をする必要が生じた。さらにそれにより、当初遂行していた基質特異性に関する実験も遅延するに至ったから。平成30年度は、前年度にできなかった計画を遂行する。
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