研究課題/領域番号 |
15K01818
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高橋 剛 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (90345380)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リガンド探索 / ペプチドライブラリ / 相互作用検出 / タンパク質スプライシング |
研究実績の概要 |
細胞内におこるタンパク質の異常・機能破綻は、多くの疾患(がん、糖尿病、アルツハイマー病)の発症を引き起こす。そのようなタンパク質の挙動解析や機能制御を目的として、標的タンパク質に結合する合成リガンドの探索が精力的に行われている。簡便に高い多様性をもつライブラリを構築できるペプチドは、特定の標的タンパク質に結合するリガンドを探索する上で非常に有用である。当研究グループでは、リガンド-タンパク質間相互作用を酵素活性として読み出す新しい検出方法(IDNCL-ER)の開発を行ってきている。本研究では、新たな検出法として、タンパク質トランススプライシング反応(PTS)を利用したIDNCL-PTSシステムの開発に着手した。これを用いて、最終的にがん関連タンパク質であるRasや、SH2ドメインなどを標的にした二環状ペプチドの探索を計画している。 平成27年度は主に、2つの項目、1)PTSを利用した新規リガンド-タンパク質間相互作用検出系の構築、2)モデルライブラリの構築とリガンドスクリーニングのモデル実験、について検討を行った。1)では、PTS反応を介してβガラクトシダーゼ活性を発現するシステムの改良および実験条件の最適化を行い、実際のリガンドスクリーニングに適した系の構築に成功した。2)では、リン酸化チロシンを含むペプチド配列を認識するSH2ドメインを標的タンパク質としたモデル実験を行った。具体的には、リン酸化チロシンを含むモデルペプチドライブラリをポジショナルスキャニング法により構築し、SH2と相互作用するペプチドリガンドの探索が可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、新しいリガンド探索法として、相互作用に依存したペプチド連結反応(IDNCL)とタンパク質トランススプライシング反応(PTS)を組み合わせたIDNCL-PTSシステムの開発を行い、それを用いてがん関連タンパク質であるRasなどに結合する合成ペプチドリガンドの探索を目的としている。平成27年度は、IDNCL-PTSに適用可能なタンパク質スプライシング能をもつインテインおよび酵素であるβガラクトシダーゼの組み合わせの最適化や改良を行うことができたため、順調に進展しているとした。また、リガンド探索のためのモデルライブラリの構築について、リン酸化チロシンを含むペプチドライブラリの合成や、それを用いたモデル実験による評価ができたことから、おおむね研究は順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として、引き続きIDNCL-PTS法における検出感度の向上を目指すことと、SH2ドメインを標的とした合成リガンドの探索として、Dアミノ酸を用いたポジショナルスキャニングライブラリの合成を行い、その中から有用なリガンド分子の獲得を目指していく。一方、二環状ペプチドの合成法の確立を目指した実験も平行して行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
突発的におこる装置の故障や、装置付属の消耗品の交換などが予想よりも少なく済んだため、若干の残予算が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に生じなかった装置の故障や、装置付属の消耗品の交換などが必要となる可能性が高く、それらに対応するために使用する予定である。
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