本研究では液胞型プロトン-ATPアーゼ(V-ATPase)を特異的に阻害するバフィロマイシン(Baf)に着目し、化学合成を基盤とした複合体構造解析を実施することで、阻害機構の解明を目指した。まず固体NMR測定に必須となるフッ素標識化Bafの合成および活性評価を行い、活性を保持した誘導体の創生に成功した。続いて合成した活性誘導体と不活性誘導体の脂質膜中での挙動解析を行った結果、顕著な運動性の違いを見出し、これが異なる活性の強さの要因である可能性を初めて示唆することに成功した。さらにV-ATPase含有試料を調製し、合成したフッ素標識化Bafを用いた固体NMRによる複合体構造解析を実施した。
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