研究課題/領域番号 |
15K01822
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
一柳 剛 鳥取大学, 農学部, 教授 (00302240)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖鎖合成 / リポ多糖 / コア糖鎖 / Kdo / 免疫刺激 |
研究実績の概要 |
本年度はKdo供与体を用いるグリコシル化における収率・立体選択性の向上、及び分岐Kdo糖鎖合成の反応経路の最適化を中心に取り組んだ。 計画による分子内環化反応を利用するKdo2糖合成ではエステル結合を介した2糖の合成は予定通り行えたが、その後のグリコシル化反応では期待したグリコシド結合を有する2糖を得ることが出来なかった。そこでグリカールを有するエステル誘導体を作成し、ヨードラクトン化によるグリコシド生成反応を試みた。その結果期待したグリコシド生成物へ得られなかった。前者ではKdoの4,5位がイソプロピリデン基で保護されているため、活性化後にグリカール生成反応が優先して進行すること、後者ではグリカールの活性化が困難であることが原因であることが明らかになった。 この問題を解決するために、4,5位の保護基をイソプロピリデン基からシリル系保護基に変更し、ピラノース環の立体配座をイス型とする変更を行った。まず分子間でのグリコシル化を行った所立体選択性がα/β=26/1まで向上し、当初の目的を達成することが出来た。 これまでに合成を達成したKdo単糖、2種類のKdo2糖についてマウスマクロファージ細胞株を用いて免疫活性化および免疫抑制活性効果について検証を行った。その結果いずれの試料についても活性化は認められなかったことから、Kdo自体にはマウスの免疫系を刺激する効果がない可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画にあるKdo糖鎖合成における立体選択性の改善方法を見いだすことが出来た。分子内反応の利用は期待しない反応が主反応になってしまったが、保護基を変更することでこの問題を解決することが可能になった。これを利用して、糖鎖ライブラリ合成が順調に進行している。免疫糖鎖の活性評価は、当初28年度に試みる計画であったが前倒しして評価することが出来た。推定した通りKdoのみでの免疫賦活効果が期待できなかったが、より大きな糖鎖を用いた場合に活性変化が起こるか検証するためのコントロールとなることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き糖鎖ライブラリの拡充をおこなう。合成の基盤となるKdo2糖の大量合成法を確立する必要があり、10g単位での合成を次年度集中的に行いライブラリ作成に備える。また連続した3連続分岐した標的コア糖鎖合成に向けた糖鎖ユニット合成に取り組む。これまでに合成した糖鎖はビオチン標識、およびヒト血清アルブミンとの縮合条件の最適化を行う。
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