研究課題/領域番号 |
15K01822
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
一柳 剛 鳥取大学, 農学部, 教授 (00302240)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Kdo / グリコシル化 / Heptose / リポ多糖(LPS) / 糖鎖ライブラリ / 分岐糖合成 |
研究実績の概要 |
平成27年度に作成したLPS/LOSの酸性内部コア2糖[Kdo(a2-4)Kdo]の5位水酸基へグリコシル化反応によりオリゴ糖の導入を検討した。マンノヘプトース,マンノース,ガラクトース,ガラクトサミンの単糖誘導体による予備実験では,60~89%の高収率でグリコシル化を達成し,4,5分岐3糖の合成を達成した。また直鎖の2及び3糖供与体を用いた場合においても良好な収率で4糖,5糖糖鎖を得ることが可能であった。さらにヘプトースの3,4位で分岐した4糖供与体を用いた場合においても立体選択的に糖鎖導入が可能で,連続分岐した内部コア6糖糖鎖の初めての合成を達成した。(収率58%)これらの結果より,研究計画時に懸念されていたKdo2糖の5位水酸基の反応性は,グリコシル化反応については低下しないことが明らかになった。またブロック合成とすることで,反応後の精製においてサイズ排除クロマトグラフィーを利用することで簡便かつ効率的に合成糖鎖が得られ,本方法が有用であることを実証した。 続いて合成したオリゴ糖鎖をタンパクまたは磁気粒子を結合させた糖鎖コンジュゲート合成を行った。Kdoを含む単糖~3糖糖鎖を,光反応を利用してリンカー導入後,ビオチン化を行いプローブ合成を達成した。また磁気粒子コンジュゲート合成の反応条件探索を行った。一連の過程において2-8結合を有するKdo2糖は2-4結合を有するKdo2糖や分岐3糖糖鎖と比較して各段階での収率が低下する傾向が見られたことより,グリコシド結合が開裂しやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖鎖ライブラリの構築について当初計画であるオリゴ糖供与体を用いたグリコシル化反応を達成し,コア糖鎖の効率的な合成経路が確立できただけでなく,分岐オリゴ糖供与体を用いた糖鎖伸長が可能である新しい知見を得ることができた。これによりNeisseria属LOS内部コア糖鎖ライブラリ作成が当初計画より早く完了した。内部コア糖鎖プローブ合成ではビオチンコンジュゲートの合成経路と基本的な合成条件が確定できた。また磁気粒子コンジュゲートの合成条件も整いつつある。タンパクコンジュゲート合成については担当予定の大学院生が進学を辞退したため,研究を予定通り進めることが出来なかった。 以上のことより,当初計画の80%以上の目的が達成できたと判断し概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は当初予定していた人的資源が確保できないため以下の内容を絞って研究をするめる。1)糖鎖合成のスケールアップを行い糖鎖標品の量を確保する。2)合成糖鎖コンジュゲートを使用した糖鎖結合抗体を選抜する基礎条件の確立。3)抗体との結合能評価実験を行う。
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