糖鎖異常型筋ジストロフィーは、基底膜上のラミニンと細胞膜上のαジストログリカンを連結する糖鎖(マトリグリカン:MG)が正常に生合成されないため発症する有効な治療方法のない難病である。本研究ではMGの構成オリゴ糖の化学合成に成功した。一方、MGの還元側に位置するキシロシルリビトールリン酸の合成にも成功し、天然物の構造決定を検証するとともに、MGの酵素的伸長のプライマー候補を得た。MGの化学的再構築によりバイパス化合物の合成に道筋をつけた。この化合物が糖鎖医薬として実証されれば、ポスト遺伝子治療として医学薬学的に大きな波及効果が期待できる。
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