研究課題/領域番号 |
15K01824
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石田 敦彦 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (90212886)
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研究分担者 |
根平 達夫 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60321692)
石原 康宏 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (80435073)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ホスファターゼ / 阻害剤 / 活性化因子 / プロトカドヘリン / スクリーニング / 遊走 / 浸潤 |
研究実績の概要 |
ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231を用い、市販のインベージョンチャンバーを利用した細胞遊走の再現性のよいアッセイ系を確立した。この系を用いて、既に効果を検証済みのCaMキナーゼホスファターゼ阻害剤ANS, ANDSに加え、東大創薬機構から供与された約10万種の化合物ライブラリーの大規模スクリーニングの結果絞り込まれた新規CaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP)阻害剤の効果も調べることにした。まず、100種近くまで絞り混まれた候補化合物を更に絞り込むため、in vitroのホスファターゼアッセイによってCaMキナーゼホスファターゼを強く阻害するが近縁のPP2Cαを阻害しない化合物を探索したところ、大別して2種のコアとなる構造がCaMキナーゼホスファターゼ特異的阻害活性と強く相関していることが判明した。そのうちの代表的な化合物を選び、更に疎水性の異なる複数の誘導体を市販品より購入し、現在、細胞遊走アッセイの準備を進めているところである。 また、最近、CaMKPがプロトカドヘリン(pcdh)γと強く相互作用することを偶々見いだした。ある種のpcdhが、がんの転移浸潤と関係するという報告が最近相次いでいるので、研究計画の3年目に予定していた計画を繰り上げて、この相互作用についても詳しく調べることにした。その結果、pcdhγがプロテアーゼによって分解された細胞質ドメインがCaMKPの内在性アクチベーターになっていることが判明した。この活性化がCaMKP阻害剤による細胞遊走阻害とどう関係するかは現在のところ不明であるが、上記阻害剤をツールとして今後更に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験を担当する予定の大学院生が、学部時代のテーマを論文にまとめてから本プロジェクトを担当する予定であったのが、投稿論文の追加実験などで予想外に時間がかかり、本プロジェクトに本格的に取り組むのが遅れた。また合成担当だった大学院生が就職活動長期化のために計画通りに研究を遂行できず、やむなく当初の計画を一部繰り上げ・組換えざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
当該院生の投稿論文はおおよそメドがついたので、本格的に本プロジェクトに取り組むことができる。また、当初合成を計画していたアナログの代わりに、新たな阻害剤候補をスクリーニングにより得る事が出来、その誘導体は市販品によって簡単に入手できたので、今後はこれらの化合物を用いて当初の計画を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画に一部遅れが生じ、またそのために一部研究計画を組み替えたりしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
遅れを取り戻す予定であるので、当初の請求分と併せて有効に使用できる見込みである。
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