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2015 年度 実施状況報告書

植物ホルモン応答の細胞選択的な制御システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K01828
研究機関岡山理科大学

研究代表者

林 謙一郎  岡山理科大学, 理学部, 教授 (30289136)

研究分担者 三井 亮司  岡山理科大学, 理学部, 准教授 (60319936)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードオーキシン / 植物ホルモン / ドラッグデリバリー
研究実績の概要

オーキシンは植物ホルモンの中で中心となって,植物の成長制御を司る。このオーキシンの分化・成長に対するホルモン作用は,植物内の組織・細胞での濃度分布によって調節されている。例えば,屈性応答や側根形成などは,オーキシンの不等分布によって引き起こされると考えられている。このオーキシンの濃度分布を自在に制御する技術が待望されており,本課題では植物バイオテクノロジーとケミカルツールを融合させた全く新しいタイプのホルモンデリバリーシステムの開発に挑んだ。オーキシンを各種アミノ化合物と縮合させて不活性化したプロドラッグ(代謝活性型ホルモンアナログ)を合成し,植物体内では,代謝を受けず数日間は安定であるプロドラッグを合成・探索した。その結果,オーキシンであるIAAにある種のアミノ酸を結合させたプロドラッグ体では,植物体内できわめて安定であり,植物体内では加水分解を受けてオーキシンを遊離しないことがわかった。また,合成したプロドラッグ体は,植物に対して毒性は示さなかった。本オーキシンプロドラッグを炭素源として生育できる微生物のスクリーニングと,その同定に成功した。現在,酵素遺伝子のクローニングを実施中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度に計画していたプロドラッグ体の分子設計と合成は初期の目標を達成した。微生物由来の代謝活性化酵素の探索に向けた予備実験も完了し,微生物スクリーニングでは,おおむね良好な結果を得ている。酵素遺伝子のクローニングは,現在解析中であるが、現時点では良好な結果が得られており,酵素遺伝子の同定に向けて,順調に進展している。している。一方,オーキシン以外の植物ホルモンの代謝活性化酵素の探索の予備実験は,植物体内で安定性の高いプロドラッグの分子設計に問題が生じているが、現在新たな保護基(代謝活性化基)の設計と導入に向けて動き出したところである。スクリーニングした微生物のゲノムシーケンスは平成28年度に持ち越しとはなったが、全体としておおむね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

平成28年度は,オーキシンののみならず,オーキシン受容体阻害剤や輸送阻害剤のプロドラッグ化を実施するとともに,進展が遅れているサリチル酸,ジャスモン酸,アブシジン酸のプロドラッグ化を推進する。また,活性化酵素のクローニングを行い,同定された酵素遺伝子を用いて,植物での発現コンストラクトの作成を行い,植物体でのホルモンプロドラック体の代謝活性化制御を実証する。さらに,各組織特異的プロモーターの制御下で代謝活性化酵素を発現する形質転換体を構築し,ホルモン分子の精密投与を試みる。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度予定していた微生物ゲノムの配列決定にかかるシーケンス実験の費用を予定していたが,別の手法でクローニングが可能であると推定された。しかしながら,しかしホモロジ―に基づくPCRクローニングなどで解析が困難な場合は,ゲノムシーケンスによる受託解析を平成28年度に実施するためと,組み換え植物体を作成する費用のため,次年度の使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

遺伝子クローニングと形質転換植物は,本計画の鍵となっている。次年度使用額を遺伝子クローニングのためのゲノムシーケンス費用に充てる計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Development of 4-methoxy-7-nitroindolinyl (MNI)-caged auxins which are extremely stable in planta2015

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, K., Kusaka, N., Yamasaki, S., Zhao, Y., Nozaki, H.
    • 雑誌名

      Bioorg Med Chem Lett

      巻: 25 ページ: 4464-4471

    • DOI

      10.1016/j.bmcl.2015.09.001

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Distinct Characteristics of Indole-3-Acetic Acid and Phenylacetic Acid, Two Common Auxins in Plants.2015

    • 著者名/発表者名
      Sugawara, S., Mashiguchi, K., Tanaka, K., Hishiyama, S., Sakai, T., Hanada, K., Kinoshita-Tsujimura, K., Yu, H., Dai, X., Takebayashi, Y., Takeda-Kamiya, N., Kakimoto, T., Kawaide, H., Natsume, M., Estelle, M., Zhao, Y., *Hayashi, K., Kamiya, Y.,Kasahara, H.
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol

      巻: 56 ページ: 1641-1654

    • DOI

      10.1093/pcp/pcv088

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] オーキシン極性輸送はヒメツリガネゴケの原糸体成長を制御する。2015

    • 著者名/発表者名
      竹内 直樹, 大地 啓寛, 本瀬 宏康, 青山 卓史, 野崎 浩, 藤田 知道, 林 謙一郎
    • 学会等名
      第50回植物化学調節学会大会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-10-28 – 2015-10-30
  • [学会発表] オーキシン輸送担体PINの局在制御に関するケミカルツール2015

    • 著者名/発表者名
      大地啓寛,本瀬宏康,野崎 浩,林謙一郎
    • 学会等名
      第50回植物化学調節学会大会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-10-28 – 2015-10-30

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公開日: 2017-01-06  

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