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2015 年度 実施状況報告書

幼若期のストレス脆弱性に対する快情動による制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K01838
研究機関公益財団法人国際科学振興財団

研究代表者

堀 美代  公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 専任研究員 (90399329)

研究分担者 村上 和雄  公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 所長 (70110517)
一谷 幸男  筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (80176289)
山田 一夫  筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 准教授 (30282312)
大西 淳之  東京家政大学, 家政学部, 教授 (40261276)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード社会隔離ストレス / 幼若期 / 快情動 / Tickling / 恐怖条件づけ
研究実績の概要

未発達の脳はストレスに対して脆弱で、脳の正常な発達には、成体になるまでの良好な環境が不可欠である。そのため、他者との相互作用からもたらされる適切な情動の喚起も重要であると考えられる。これまでの申請者の研究成果から幼若期の快情動を喚起する経験が、ストレス耐性の獲得や恐怖記憶の消去に重要な役割を果たし、その脳基盤として扁桃体の微少環境の変容を引き起こす可能性を見出した。
本研究では、仔ラットの遊びモデルであるTickling刺激により喚起される快情動がもたらすストレス耐性効果を、報酬系と扁桃体との相関・因果関係に着目しストレスに対する快情動のリセット効果を検証する。このことにより、遊びなどの快情動を喚起する良好な幼少期の人間関係の重要性についての科学的根拠を提供する。
27年度は、離乳後の幼若期に受けた足への電撃ストレスの経験が、成体期の恐怖条件づけにどのような影響を与えるのか。さらに、その影響に対する快刺激(tickling)の役割を検証した。
Fisher系仔ラットを離乳後(21日齢)からストレス無集団飼育群、ストレス負荷集団飼育群、ストレス負隔離飼育荷群、ストレス負荷Tickling群に分けた。ストレス負荷群の仔ラットは離乳後の2日間、足への電撃ストレス(装置A)を与え、4週間成体になるまで各群の条件下で飼育した。成体期にはTickling刺激は与えずに飼育した。①恐怖条件づけ:成体期(11週齢)に、幼若期に電撃刺激を与えた装置Aにて、音刺激をCS、足への電撃をUSとした恐怖条件づけを行った。条件づけ中のフリージング反応、超音波を測定し、恐怖反応及び嫌悪情動(22kHz音声)の程度を解析した。②消去:恐怖条件づけの翌日から条件づけ時と異なる装置Bで、CS提示に対するフリージング反応、超音波を解析し1週間保持テストを行い、消去の程度を比較した。現在、実験は継続中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

離乳後の幼若期のストレスとして、仔ラットに足への電撃刺激を与えて、成体期の行動変容への影響を検証している。その結果、幼若期に社会隔離飼育を実施したラットは、集団飼育のラットと比較して恐怖条件づけへの応答が異なることが示唆された。現在、電撃刺激の強度を変えて、個別飼育群と快情動喚起群の応答の違いを検証している。脳のサンプリングによる組織学的検証はまだ、実施していないが、実験はおおむね計画とおり遂行している。

今後の研究の推進方策

28年度は、27年度に引き続き、恐怖条件づけに対する応答を検証する。加えて、離乳後の幼若期のストレスの経験が不安行動に与える影響や、さらにその変容に対する快情動の喚起による影響を検証するために、強制水泳テストを用いたうつ様行動の評価を行う。
具体的には、水を満たし脱出不可能な円筒状のプール内にラットを強制的に15分間泳がせる(強制水泳ストレス負荷)。翌日に再びラットを5分間強制的に泳がせる(テスト)。テスト時のプール入水後から無動になるまでの時間(回避潜時)と総無動時間を測定し解析する。この回避潜時や水泳(活動)時間の減少を指標として、動物の「うつ状態」や「絶望状態」を測定する。強制水泳への影響がみられなかった場合は、高架式十字迷路による不安行動を検証する。
また、これらの行動変容と扁桃体とのかかわりを明らかにするため、扁桃体の遺伝子やマイクロRNAの発現に及ぼす影響を検証する。

次年度使用額が生じた理由

27年度は、離乳後の幼若期に受けた足への電撃ストレスの経験が、成体期の恐怖条件づけにどのような影響を与えるのか。さらに、その影響に対する快刺激(tickling)の役割を見出すため、足への電撃刺激の強度を変え、社会隔離飼育群と集団飼育群の恐怖条件づけへの応答の差別化の検証を重ねた。現在も継続して実験を実施している。そのため、27年度は脳組織のサンプリングによる遺伝子発現実験を実施しなかった。

次年度使用額の使用計画

28年度は、27年度実施しなかった扁桃体の遺伝子発現の測定を実施し、繰越金はその解析費用に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 笑いや感動が遺伝子をONにする2015

    • 著者名/発表者名
      村上和雄、堀美代
    • 雑誌名

      癒しの環境Japan Society of Healing Environment

      巻: 20 ページ: 23-28

  • [学会発表] Tickling during adolescence overcomes stress vulnerability induced by isolated rearing.2015

    • 著者名/発表者名
      Hori M, Yamada K, Ohnishi J, Furuie H, Murakami K, Ichitani Y.
    • 学会等名
      日本動物心理学会第75回大会
    • 発表場所
      日本女子大学 目白キャンパス, 東京
    • 年月日
      2015-09-10 – 2015-09-12

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公開日: 2017-01-06  

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