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2017 年度 実績報告書

闘争における優劣決定の神経回路機構

研究課題

研究課題/領域番号 15K01846
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

松股 美穂  国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (50595460)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード社会的闘争行動 / 手綱核 / 脚間隔
研究実績の概要

手綱核(Hb)はヒト脳最深中心部にある、間脳視床の主要神経核である。哺乳類では内側(MHb)と外側(LHb)に分かれ、内側部はさらに背側(dMHb)と腹側(vMHb)に分けられる。MHbからの投射はほぼ全て中脳脚間核(IPN)に入力し、dMHbはIPNの辺縁部に、vMHbはPN中央部に神経伝達することがわかっている。我々は魚類であるゼブラフィッシュを用い、哺乳類MHbに相当する2つの背側手綱核が社会的闘争時、2つの背側手綱核が関与するという知見を得ていたが、本研究ではヒトにより近いマウスを用いて社会的闘争時のvMHbの役割を検討した。
vMHb-IPN回路は神経伝達物質としてアセチルコリン(ACh)を含むが、そのACh投射を抑制したマウスを作成し、力が強く大きな別系統マウスとの間での社会的優劣関係を確認したところ、AChを抑制することで強い相手マウスにも勝つ傾向にあった。逆に、vMHbからIPN中央部への投射を光遺伝学的に増強したマウスと、IPN中央部の神経細胞をニコチンで活性化したマウスを作成し、性格がより穏やかとされる別系統マウスとの間での社会的優劣関係を確認した。その結果vMHb-IPN経路を活性化することで弱い相手マウスにも負ける傾向にあった。
以上の結果より、vMHb-IPN回路は本来闘争行動のブレーキであり、これを抑制すると社会的階層の優位に、活性化すると劣位に立ちやすくなることが確認された。社会的劣位が長期的に続くことで抑うつ傾向になることが知られているが、この知見が社会的抑圧による精神疾患治療への基礎知見となる可能性がある。また逆に、慢性的な闘争的精神状態が社会集団や個人を疲弊させると考えられるが、それを解決するための基礎知見になると期待している。
現在は、この結果をさらに発展させ、その下流として報告されている中央縫線核の役割を確認している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017 2015

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] The habenulo-interpedunculo-median raphe regulates social conflict2018

    • 著者名/発表者名
      Matsumata M, Hirao K, Kobayashi T, Sugiyama T, Kobayashi Y, Huang A, McHuge TJ, Itohara S and Okamoto H
    • 学会等名
      第41回日本神経科学大会
  • [学会発表] Nicotine reduces resilience in social conflict by activation of the interpeduncular nucleus2017

    • 著者名/発表者名
      Matsumata M, Hirao K, Kobayashi T, Kobayashi Y, Huang A, McHuge TJ, Itohara S and Okamoto H
    • 学会等名
      第40回日本神経科学大会
  • [産業財産権] 撮像装置、及び、生体情報取得装置2015

    • 発明者名
      小林琢磨、松股美穂、岡本仁
    • 権利者名
      小林琢磨、松股美穂、岡本仁
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      JP 2017-49069 A 2017.3.9)

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公開日: 2018-12-17  

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