研究実績の概要 |
本研究では、人間がどの音声の発話をイメージしているかを脳活動信号から判別することを目的としている。今年度掲載となった国際論文誌Frontiers in Neuroscience(Volume 10, Article 175, pp.1-15, doi: 10.3389/fnins.2016.00175)では、2種の母音の音声を聞かせた後に被験者がその音声をイメージした時の脳波と核磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging, fMRI)データを計測し、それらから脳皮質上の信号源を推定することで、何かをイメージしているか、そしてイメージしているとしたら2種の母音のうちのどちらかを判別できる可能性を示した。 この技術を用いて、母音3種および子音4種の判別も実施し、信号源を推定すると脳波そのものの信号よりも高い精度で判別できることが示された(論文投稿準備中)。まだ全ての種類の母音と子音に展開されてはいないが、この技術を用いて頭に思い浮かべた文字がコンピュータに出力されるようなシステムが構築できる可能性があると考えられる。また、この技術ではどの母音や子音をイメージしている時に脳のどこの部分で処理されている可能性があるかを調べることができ、発話イメージ中の脳活動処理の流れを捉えられる可能性があることから、工学的な用途だけでなく科学的に脳内の言語処理について調べる一助となる可能性もある。さらに精度を向上させられる可能性のある新たな手法についても確立し、現在論文投稿中である。
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