2018年度は、これまで着手できていなかった韓国調査を実施した。韓国の漆関係者からの聞き取りによって得られたことは、主に第二次世界大戦後の漆業界の変遷であり、戦前から戦後に繋がる漆器産地と漆樹栽培との関連についてで、この内容と史・資料との付け合わせが必要であるが、現時点では入手できていない。聞き取りでも史・資料の存在を確認できなかった。しかし、韓国における漆栽培地および漆器産地や漆芸家とのネットワークが広がったことは、大きな成果である。これまでの現地調査(ベトナム、台湾、沖縄など)によって、ベトナム、台湾、韓国、日本および沖縄、それぞれの漆貿易の変遷を比較することが可能となった。中国については、残念ながら資料のみの分析となる。年度内にすべての分析ができなかったが、研究成果を発表する準備を進めている。但し、地域で漆樹の植林活動をする市民団体の例会において、これまでの成果を発表する機会を得ることができた(2018年8月)。
|