本研究は、この中央アジア地域に焦点をあて、中央アジア諸国がアジア大国である中国と日本とどのような関係を構築したか、その特徴や各国の外交政策の方向性はどのようなものなのかを分析してきた。そして、日中両国との関係の現状と国際関係の理論を擦り合わせ、この地域は今後どのような発展の道を歩むのかについて、現時点で確認しうる方向性を提示することを目指した。本研究の分析の対象は中央アジアプラス日本政策と上海協力機構や一帯一路政策に関するものであり、これらの仕組みの一環として行われた両国政府の活動である。そして、国家間関係に加え、両国政府による地方レベルでの国家交流も対象になっており、日本の場合一品一村運動の中央アジア適用や中国の中央アジア諸国における企業創立などが上げられる。 以上の研究の活動として多くの成果があったが、特に重要な成果として本研究は中国と日本の対中央アジア外交政策にける共通点として本地域が日中にとって新しいフランティアとしての位置づけを強調したが、この地域に対する姿勢は両国において異なっており、中国は中央アジアを近隣地域で戦略的に重要な国々に位置づけていることに対し、日本にとってこの地域は非常に親日的であると同時に距離的に離れており、政策上の共通課題が少ないことが挙げられる。同時に日本はこの地域に対し開発援助を行っており、この地域において中国と異なった政策を行っている国として日本が多くの専門家から見られている。本研究においてもこのような異なる位置づけの結果、これらの国々の対中央アジア政策の特徴や実施されているプロジェクトの違いが多く存在することが確認され、それらの詳細を明らかにした。
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