研究課題/領域番号 |
15K01866
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
左右田 直規 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (30345318)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歴史認識 / 歴史教科書 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
(1)歴史教科書に関する先行研究の検討と分析視点の設定 第一に、教科書に関する歴史学的・社会学的研究を参照し、本研究の分析視角を定めることを試みた。具体的には、アジア諸国における歴史教育と歴史教科書に関する比較研究を参照し、本研究でマレーシアの歴史教科書問題を分析する視角と方法を模索した。第二に、マレーシアの歴史教科書問題を論じた先行研究を批判的に検討し、既存の研究の達成点と盲点を明らかにした。先行研究を網羅的に収集したうえで、先行研究が何をどこまで明らかにしたのか、既存研究で解明されていない課題は何なのかを探った。 (2)歴史教科書および関連資料の言説分析 第一に、1990年代以降に出版された国定歴史教科書の叙述の特徴について考察した。時代区分など全体構造を示したうえで、歴史的事象の選択や個々の事象に関する叙述の特質を明らかにした。第二に、歴史教育に関連する教科書以外の公的資料の収集と整理を試みた。具体的には、教育政策に関わる法規、報告書、歴史科のカリキュラムやシラバスである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歴史教科書分析の理論的検討と分析視角の模索、ならびにマレーシアの歴史教科書をめぐる先行研究のレビューについては、おおむね順調に進んだといえる。他方、家庭の事情により、やむをえず年度末に予定していたマレーシアにおける現地調査を延期したため、歴史教科書ならびに関連する一次資料の収集と分析の面で当初計画よりやや進展が遅れた。昨年度、実施できなかった調査については、今年度の現地調査において補いたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の具体的な研究計画・方法は以下の通りである。 (1)歴史教科書および関連資料の収集と言説分析 前年度に引き続き、歴史教科書ならびに教科書以外の歴史教育に関連する公的資料の言説分析を行う。 (2)歴史教科書をめぐる論争の抽出と分析 新聞社や雑誌社の図書室・資料室において、主要な新聞・雑誌などの定期刊行物(マレー語ならびに英語のメディア)の記事を精査し、歴史教科書の叙述に関して展開された論争を抽出する。歴史教科書論争に関わる記事の分析を行いながら、歴史教科書論争における具体的な争点が何なのかを明らかにし、議論の対立軸がどこにあるのかを提示する。 (3)研究成果の中間報告 独立後マレーシアの歴史教科書の構造と動態に関して、国内外の学会で報告し、学術雑誌に投稿する。
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