最終年度に当たる2018年度には、主に以下の作業を中心に本研究に取り組んだ。 1)『厚生(労働)白書』を材料に戦後日本の保育政策の展開、保育に対する政府の問題意識の変化をまとめた論文を刊行した。2)韓国育児政策研究所の国際比較研究プロジェクト(東アジアにおける少子化の争点と育成策の比較)の一員として、国際セミナーおよび1年目の報告書の執筆に参加した。3)再生産レジームのなかでも特に時間支援に注目し、福祉国家と時間政策(労働時間、ケア時間)との理論的関係を整理し、刊行した。4)2019年度から始まる放送大学の講義(「社会保障の国際動向と日本の課題」)の制作に参加し、本研究の研究成果を講義内容に反映した。5)国内外のセミナー、講演などにおいても積極的に本研究の内容を盛り込み、それぞれの報告を通じて問題意識や研究内容を刷新した。
以上の研究活動を通じて、日本だけでなく東アジアひいては欧米の再生産レジーム(子どものケアを中心に)に関する理解を格段に深め、国際比較から多くの新しい視点を得ることができた。また、韓国、中国とも再生産の危機が日本以上に深刻化しつつあるなか、本研究をさらに発展させるための方向性、課題を明確化することもできた。
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