研究課題/領域番号 |
15K01871
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 晶子 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (90467522)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農村 / 都市 / 人口 / ブータン |
研究実績の概要 |
交付申請書では、平成27年度にブータン東部、平成28年度にブータン西部で調査を行う計画であったが、昨年度(平成27年度)での現地調査では、ブータンの首都から東部地域へ向かう道路の状態が大変に悪かったため、東部地区での調査をあきらめ、ブータン西部で聞き取り調査を行った。本年度は、ブータン東部での調査を現地のNGOなどの協力を得ながら行った。 ブータン東部地区は、西部地区に比べて都市への人口流出が大きい地域である。機械化のすすまない農村部においては、人口の流出はそのまま生産性の低下へとつながっている。特に、休耕田、休耕畑が多く、野生動物の被害も深刻である様子が聞き取り調査等から、明らかにされた。また、労働力の減少を補うとされる高収量品種の導入も、F1種への依存と、在来種離れを招き、農家の生計を危うくする可能性があることも観察された。そこで、明らかになってきたのは、在来種の種の保存についての伝統知が失われつつあることである。農業省から派遣されている農業普及員は、改良種については、研修等と受けているが、在来種については、ほとんど知識がないということが、聞き取り調査から明らかになった。「開発」という活動が、改良種や機械化に偏った農業のあり方を定めつつあることが窺われる。 一方で、ブータンの農村で、コミュニティの活性化のために働こうとする若者も存在する。人口の流出ばかりではないトレンドがあることも、明らかになった。また、チベット学会において、本研究の中間的な発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、調査地を変更したが、それにより後回しになっていたブータン東部での調査を実施することができ、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
王立ブータン大学とも連携しながら、研究成果の発信と、研究成果の現地還元を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブータン東部地域での調査にあたって、現地受け入れ機関の厚意により、現地での交通費や宿泊費、現地の調査補助者への謝金の必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
調査結果の分析についての意見交換の機会を設け、現地への研究結果の還元に重点をおきながら、研究結果の発信を行う。
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