本研究は、アフガニスタンにおける国際治安支援部隊への連邦軍派遣(2001~14年)を事例に、ドイツの安全保障規範を国内世論との関係を中心に分析した。その結果、1991年の湾岸戦争以降、同盟国の要請に応じて、国際秩序への貢献を目的に海外派兵を積極化してきたが、アフガニスタンで死者55名を含む多数の死傷者を出したことなどに伴い、国際危機への積極関与よりも自国の問題解決に専念すべきだとする世論が急速に増え、過半を占めたことが各種世論調査で確認された。戦闘を含む危険な任務という実態に対し、派兵目的を治安維持と説明してきた政府への不信と併せ、国内世論が内向き姿勢に転じた背景となったことも判明した。
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