ダライ・ラマのインド亡命から60年経過するなかで、在日チベット人はチベット本土出身者を含め約220人を数える。本研究では、在日チベット人社会における伝統文化や共同性の再構築・維持のメカニズムを、ネットワーク形成と情報発信、イベントなどの集いあう場、日‐蔵関係の歴史的展開などに着目し、分析した。在日チベット人は、デジタル・メディア活用による国内外とのネットワーク形成とチベット関連情報の発信、明治以降の緊密な日-蔵関係や仏教を介した宗教的連帯、日本社会からの多方面の支援活動などの日-蔵の双方向交流を背景に、日本における伝統文化と共同性の再構築・維持を展開してきたことが明らかにされた。
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