研究課題/領域番号 |
15K01878
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
A Dybovski 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (70252723)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ロシアの日本学史 / 極東ロシアの実践的日本学 / D.M.ポズドネエフ / E.G.スパルヴィン |
研究実績の概要 |
本年度の研究計画に基づいて、主にウラジオストクと日本を資料収集フィールドにして、ロシアの実践的日本学におけるD.M.ポズドネエフの活躍について調査し、極東連邦大学図書館の図書係長T.V.ポリカルポヴァ(Т.В.Поликарпова)氏の手を借りて作成したD.ポズドネエフの最新の著作リストに基づいて、ロシアと日本の図書館及び公文書館等で80作を超える当研究者の著作を収集・分析し、研究協力者であるオリガ・パヴロヴナ・エランツェヴァ(О.П.Еланцева)極東連邦大学教授との共同研究として東洋学院におけるD.M.ポズドネエフの活躍及びE.G.スパルヴィン博士との関係を明らかにした。 特に、上記の東洋学者の個人関係の経緯を背景に、D.M.ポズドネエフの日本語教材『日本歴史読本 第一巻 1・2部』(東京1906.297 ページ)の書評として書かれたE.G.スパルヴィンの『日本学の分野におけるD.M.ポズドネエフの著作及び研究方向性の特徴について「日本歴史読本 第一巻 1・2部」の批判的分析』(『東洋学通報』1908 23巻 3号 78ページ)と、その反論となったD.M.ポズドネエフの『E.G.スパルヴィンの「日本学の分野におけるD.M.ポズドネエフの著作及び研究方向性の特徴について「日本歴史読本 第一巻 1・2部」の批判的分析」への回答』(横浜1909 97ページ)といった作品を対照分析し、E.G.スパルヴィンの批判にはどれだけの根拠があり、D.M.ポズドネエフの回答にはどれだけの妥当性があったかということに焦点をあて、ロシアの二人の有名な日本学者の議論の趣旨を考察し、上記問題に関し、国際シンポジウムで学術報告をし、本研究協力者O.P.エランツェヴァ氏との共著論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の目的を達成しただけでなく、極東連邦大学図書館の協力により、本研究の第二年度の課題であるモスクワ及びサンクトペテルブルグの図書館蔵書にあるD.M.ポズドネエフの著作の収集を順調に推進し、本研究の最終目標の一つである論文「日本学者としてのD.M.ポズドネエフ」のための資料の大半を収集し、その構想や構成についてもおおむね把握し、本研究を成功させる見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
日本やウラジオストクにおける資料収集を続け、モスクワとサンクトペテルブルグの図書館や公文書館の資源をさらに発掘し、日本学者乃至東洋学者としてのD.M.ポズドネエフの人間像を究明し、王室付属の実践的東洋アカデミーにおける活動を含め、D.M.ポズドネエフによる実践的ロシアの日本学及び日本語教育への貢献を総合的に評価し、現代の日本研究や日本語教育の改善のためのヒントを得るように努める。
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