3カ年の研究計画の最終年度にあたる平成29年度は、①初年度から継続して従事していロバート・ウィリアムス文書の分析と検討、②前年度に取りかかったMalcolm X コレクション、ならびニューヨーク市立図書館ショーンバーグセンターで入手した史料の分析と検討、③最終年度リサーチの内容の精査と検討、④研究成果の執筆を中心に計画を進めた。 また、上の4つの項目ならびにこれまでの報告してきた年度ごとの具体的課題に加えて、本年度が最終年度にあたるということから、本年度はこれらを総合することに注力した。それは、すなわち、⑤アメリカ合衆国におけるシヴィック・ナショナリズムとの関連について、先行研究を再度検討し、本研究の独自性について考察を深め、それを論文にまとめるということである。 以下、各項目ごとに詳述すると、①についてはその一部を『日本女子大學紀要文学部』所収の論文、②については『立教アメリカン・スタディーズ』所収の論文に活かし、③については2018年2月25日から3月5日までのワシントンD・Cとニューヨークでの調査で成果を得たかたちでひとまず完結し、④については、現在、既発表の論文やエッセイをまとめ上げ、書籍として公刊できる原稿の執筆に従事している。最後に、⑤については、岩波書店刊行の『思想』所収の論文として発表している。 また、この間、歴史科学協議会の『歴史評論』、岩波書店刊行の『世界』に発表した論文と記事も、近年のアメリカにおける人種関係の大変動に関する時事評論という性格をもつものの、本研究と密な関わりを持つ内容となっており、その論考には本研究で得た知見が活かされている。 論文等の執筆業績という側面から見ると、本年度は、最終年度にふさわしく、読者層の異なる多様な媒体で充実した成果を上げることができたと考えている。今後も本研究の成果をもととした研究成果の発表は続く予定である。
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