本研究は、「ブラック・ナショナリズム」の展開を歴史実証的に検討することで、一般にシビック・ナショナリズム型国家の典型とされるアメリカ合衆国の社会統合において人種がもつ意義を明らかにすることを目的としたものである。 また、2014年に起きたファーガソンでの「暴動」、ならびに2016年のドナルド・トランプの大統領当選は、同国における人種を再考する機会となり、この時事的な関心も研究の射程に加え、その論考は、一般誌・学術誌双方で発表した。その最大の成果は、『思想』(岩波書店)所収の「黒人ラディカリズムの「68年」とブラックパワー」にて、直接本研究の課題と結びつけるかたちで展開している。
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