オランダおよびイギリスにおいて蘭領東インドと英領マラヤ,シンガポールにおける婚姻法制に関する資料収集を実施した。蘭領東インドでは,19世紀なかばに本国において成立した世俗的な婚姻法制が東インドにも移植されたことがわかった。他方,この婚姻法制は東インドにおいてヨーロッパ人に分類される法的集団に適用され,土着の原住民は慣習に基づく婚姻が許容されるという二重構造を維持した。 英領マラヤ,シンガポールでも,英国の婚姻法制の影響はみられるのだが,現地の婚姻規則を法体系に組み込むことはせず,婚姻登録の規則を制定することで婚姻に対する把握をおこなっていった。
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