研究課題/領域番号 |
15K01888
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
中岡 まり 常磐大学, 国際学部, 准教授 (80364488)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中国政治 / 選挙 / 議会 |
研究実績の概要 |
本研究は、選挙活動を通じた中国社会における公共空間の変化と、それに伴う中国共産党の権威主義体制の変容の可能性について解明するという目的を持っている。平成27年度は、選挙実施前の法改正や当局の方針に関する情報収集を行うとともに、選挙活動において情報共有のツールとして大きな役割を果たすSNS、特に微信(We Chat)の利用状況や利用方法について情報収集を行った。 8月に中国北京への出張を行い、中国のメディア関係の研究者、選挙研究を行っている研究者、元北京市人民代表らと会い、聞き取り調査を行った。報道に関する規制が厳しくなり、多くの人材が官制メディアから流出していること、地方政府にとって不利な情報に関する報道規制が敷かれていること、選挙研究および選挙に関するNGOに対する締め付けが厳しくなっていること、選挙法と選挙活動については外国からの資金やその他の援助が制限される予定であることなどの情報を得た。 微信(WeChat)をインストールし、複数の研究者、友人に招待してもらった結果、微信を通じた情報交換や連絡の取り方を理解した。微信は微博(ミニブログ)に比較してクローズなグループでの交流に適しているため、前回の2011年の選挙で主に用いられた微博よりも小選挙区制である人民代表大会の直接選挙の選挙広報活動には適していると考えられる。しかし、同時に500人以上のグループトークに対してはすでに検閲がなされているとの情報もあり、今後の活用に注目せねばならない。また適当なグループに入り、情報を得る必要がある。 2016年2月には本年度の研究成果も踏まえて2015年度人間文化研究機構現代中国地域研究拠点・国際シンポジウムにおいて「人大選挙と代表活動に見る党の強靭性と脆弱性」と題する報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常は選挙実施の前年の3月に選挙法が改正されるが、今回は選挙実施前年の8月末にまで選挙法の改正が遅れており、そのため、各地方での選挙実施細則の修正が遅れている。よって、これに関する情報収集も遅れている。 また、習近平政権は言論・報道の自由に対して極めて厳しい姿勢を取っており、中国の政治学研究者らが外部との接触に慎重にならざるを得ない状況が生じている。このため、現在、アンケート調査及びインタビュー調査の共に行う中国側カウンターパートと直接メールなどを通じて連絡することを控えるよう、先方より求められている。よって、調査に関する契約をまだ進めることができていない。 選挙法に関する情報は通常通り公開されているので、公開済みの情報をもとに研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
中国側カウンターパートとはメール・電話での連絡は控えているものの、迂回しての連絡は可能であり、2016年夏に直接会う約束はできているので、2016年11月に予定される選挙の観察及びその後の調査について、交渉し、内容を調整することを予定している。 現在の北京市人民代表の経歴などについて公表されていることが判明したため、彼らのプロフィールについて情報収集を行い、当選後の活動との関連についての研究も予備的な調査として進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート関連の作業が進まなかったため、保存媒体の購入などを行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度はアンケート関連の作業を進めるため、保存媒体の購入、データ分析のための講習への参加などを行い、使用する予定である。
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