研究課題/領域番号 |
15K01888
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
中岡 まり 常磐大学, 国際学部, 准教授 (80364488)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中国共産党 / 公共空間 / 選挙 / 協商民主 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、選挙活動を通じた中国社会における公共空間の変化と、それに伴う中国共産党の権威主義体制の変容の可能性について明らかにすることである。 しかしながら、習近平政権下において、研究者への締め付けが厳しく、自由な研究テーマの選択や調査が困難な状況となっている。本研究では当初、北京市社会科学院および中国人民大学の研究者と共に投票行動に関するアンケート調査を行い、分析する予定であった。しかし、これらの共同研究者が別の研究機関との研究協力に関して圧力を受けたため、予定していた調査自体は実施されたものの、データの提供が困難な状態となった。 そこで、2016年度は中国社会における公共空間の変化を研究の主要なテーマとして、基層レベルでの協商民主のあり方を取り上げ、協商民主と基層社会の相互作用を描く研究を行うこととした。その研究成果は2016年12月10日に慶應義塾大学現代中国研究所主催第10回国際シンポジウム「21世紀における政党政治」において「「党の主導する「公共性」の限界はどこか―「協商民主」から探る」として発表した。また、2017年3月に慶應義塾大学出版会より出版された小嶋華津子・島田美和編著『中国の公共性と国家権力-その歴史と現在』の中で「「協商民主」と地域社会―協商民主に探る新たな公共性創出の可能性」として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中国側の研究協力者が、別件での海外の機関との共同研究に関して中国当局より圧力を受けた。そのため、本研究に関しても、データの提供を行えば、当局より機密漏えいとの疑いをかけられかねないとして、当初予定していた2016年度内での調査結果のデータ提供は見送られた。中国側の研究協力者の身の安全や研究環境の維持を考慮すれば、当然のことであり、仕方ないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度、2018年度は中国側共同研究者を日本に招聘し、彼らの研究成果について発表してもらい、研究交流を深める。その上で、2017年度、2018年度でのアンケート調査データの提供の可能性について探る。 また、2016年選挙について、大学や研究機関でのヒアリングを行い、当時の状況についてデータの蓄積に努める。選挙方面の研究の停滞も予測されるため、同時に協商民主についての研究も進める。また、重慶の女性起業家らとのつながりができる可能性があるので、彼女たちを通じて公共空間の変化に関する研究を進められないか探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国での研究者に対する締め付けが厳しく、海外の研究機関との連携が厳しく精査され、圧力がかかるようになっている。連絡を取るのも危険が予想されるため、迂回して中国当局の監視が届きにくい状況を選択して行っている。このため、2016年度に予定していたアンケート調査のデータの提供を受けることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度、2018年度に状況が好転することを期待し、今後のデータ提供の可能性を探りつつ、既に公開されている公開文献を利用することにより、研究を進める予定である。また、2011年度選出の人民代表の選出区と所属単位が公表されたので、これをデータベース化し、分析することも考えている。
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