文献調査を中心とし、主に選挙における贈収賄による票の売買に関する研究を行った。遼寧省の全人大代表と湖南省衡陽市という下位の行政レベルの類似した事例を合わせて検討すると、買収の対象となる議席の枠が行政レベルによって変化していることが分かった。全人大レベルでは企業家枠のみが買収の対象となり、党政幹部枠はわずかしか買収されていない。しかし、衡陽市のケースでは企業家枠のみならず市・区レベルの党政幹部枠も買収の対象となっており、「買うことができる議席」となっている。これは資本の力が党の指導よりも有効に作用する領域が下位レベルで拡大していることを示している。
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