研究課題/領域番号 |
15K01893
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三澤 真美恵 日本大学, 文理学部, 教授 (90386706)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 台湾 / 映画統制 / 国民統合 |
研究実績の概要 |
平成27年度は研究会3回と国外調査1回を実施した。概要は以下の通りである。 1)研究会:①2015年7月13日(月)ステファン・コルキュフ氏(リヨン東アジア研究所)講演「多元的なナショナル・アイデンティティフィケーションから地政学的な境界性へ」。②2015年10月3日(土)「中国語圏映画史研究の最前線」ワークショップとして以下3名の報告を得た。蓋暁星(東京大学大学院博士後期課程)「日本における中国映画『青い凧』の受容」、黄耀進(早稲田大学非常勤講師)「見るものと見られるもの―映像における帝国「視点」の形成とその転換(日本内地から植民地台湾まで)」、趙斉(東京大学大学院博士後期課程)「香港映画にみる中華伝統建築イメージの創出―1960年代ショウ・ブラザーズの歴史映画を例に」。同時に、以下2名のコメンテーターを含めた議論を行った。劉文兵(東京大学 総合文化研究科学術研究員)、大黒岳彦(明治大学 情報コミュニケーション学部)。③2015年12月12日(土)「政治的画期の前後を考える――日本とチベットの場合」と題して、以下2名の報告を得た。高岡裕之(関西学院大学)「昭和期日本の文化運動と大衆文化――その戦前と戦後」、大川謙作(日本大学)「チベット史における1950年代の意味:「改革」と「解放」の語りから」。同時に以下2名のコメンテーターを含めた議論を行った。村上大輔(早稲田大学)、古川隆久(日本大学)。 2)調査:2015年9月6日~12日、台湾の国史館、国家図書館、国家電影中心における档案および映像資料調査を実施した。 3度の研究会を通じて、本研究を推進するための新たな視角と知見を得ることができた。調査では、予定される研究時期・研究対象のうち、1949~1953年の省政府・国民党政権中央に関する部分の基礎調査を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度に当初予定していた研究時期・研究対象は1945~1947年台湾行政長官公署及び1947~1949年台湾省政府の映画統制政策及び実施状況であったが、調査中に判明した「反共抗ソ総動員運動」と映画統制との強い関連を示す資料に着目し、蒋介石のリーダーシップによる大陸時期と台湾撤退後の映画統制に関する連続性について、先行して調査を実施した。当初計画にあった時期と対象が後回しになったという意味では進捗にやや遅れが見られるが、当初計画時には想定されていなかった事実関係を発見することでき、蒋介石の関与による1945年前後、1949年前後の映画統制における連続性という新たな視角を得たという意味で、研究全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
新たに判明した蒋介石と映画統制との関連について引き続き調査をすると同時に、当初の計画に立ち返り、1949年以前の時期・対象についても着実な調査を実施する。同時に、近接する領域の研究者を国内外から招請して研究会を実施し、本研究をさらに推進するための視角と方法論を学び、国内外に向けて研究成果を発信し、研究ネットワークを構築する。
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