研究課題/領域番号 |
15K01893
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三澤 真美恵 日本大学, 文理学部, 教授 (90386706)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 台湾 / 映画統制 / 国民統合 |
研究実績の概要 |
海外調査と国内ワークショップを各1回、海外での成果報告と国内講演会を各2回、実施した。概要は以下のとおりである。 1.海外調査:8月6-17日、台湾の国家図書館・国立台南芸術大学・国家電影中心・国史館の各所にて資料調査を実施した。 2.海外での成果報告:6月3-4日、香港の香港中文大学の国際会議「Taiwan Cinema: A New Historiography」において「Rethinking Colonial Taiwan's Film Regulations: Using the Discovered Film Materials as Examples」を報告。8月17-20日、中国の北京社会科学院文学研究所主催ワークショップ「影像記録與両岸社会」にて「台湾転型正義與記録片叙述――以両部“慰安婦”主題影片為例」を報告。 3.国内ワークショップ:9月23日、日本大学文理学部、ワークショップ「植民地期台湾映画フィルムの研究―アニメーション史や音楽学の視点で考える」。報告者:とちぎあきら(フィルムセンター主任研究員)「フィルム・アーキビストは台湾で見つかった戦前日本アニメーション映画をどう見たか」、劉麟玉(奈良教育大学)「国策映画の音楽学的分析『南進台湾』」、葛西周(東京芸術大学)「植民地期台湾の文化映画における音楽――『全台湾』を中心に」。コメンテーター:西村正男(関西学院大学)、町田祐一(日本大学)、宮川渉(明治大学)。 4.国内講演会:5月30日、日本大学文理学部4号館412教室、アルノ・ナンタ氏(フランス国立科学研究センター研究員)講演「フランスにおける植民地主義とプロパガンダ」。10月13日、日本大学文理学部本館1階B会議室、水野直樹氏(京都大学名誉教授)講演「戦時プロパガンダ『望楼の決死隊』をめぐって――朝鮮映画との交錯を読み解く」、同事前学習会10月12日。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28 年度は、1945~1947年の中国における国民党政権中央およびその映画統制政策と実施状況に関する史料を収集調査分析するのが研究計画申請時の予定であったが、前年度に明らかになった「反共抗ソ総動員運動」と映画統制との関係について、さらに研究を深化させることを優先した。当初予定とは異なる展開となったが、蒋介石の映画統制への関与という新たな視点で、1945年前後・1949年前後の連続性を明らかにすることができた。さらにまた、一連の施策が冷戦期の映画統制に連続していくという展望を得られた。その意味で、計画全体としては概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
蒋介石と映画統制との関連については1945年前後・1949年前後の連続性を明らかにする成果を公開できたことから、次の段階として台湾社会という視点から1945年前後・1949年前後の映画統制の連続性・不連続性について調査を実施する。同時に、前年度までと同様に、近接する領域の研究者を国内外から招請して研究会を実施し、本研究をさらに推進するための視角と方法論を学び、国内外に向けて研究成果を発信し、研究ネットワークを構築する。
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