2019年度は、研究期間を延長しメキシコとコスタリカにおいて家事労働者として働く移民女性労働者を中心として研究を行った。7月29日から8月9日までコスタリカおよびメキシコにおいて文献収集とインタビューを行った。コスタリカでは、国立女性機構、コスタリカ大学の中米人口研究所において資料を収集し、ニカラグア移民女性の援助を行っているNGOについて調べた。メキシコではCIESASおよび国立メキシコ自治大学(UNAM)のジェンダー研究センターで資料調査を行った。 1960年代から農村から国内移民する女性たちが個人の家の有償家事労働を担っていたが、1990年代から移民の女性化がすすむなかで移民女性労働者がとってかわっている。メキシコにおいてはグアテマラ、ホンジュラスなど中米からの移民女性が家事労働を担っている場合が多い。また、コスタリカでは都市部においてニカラグア女性が家事労働者として就労している。新自由主義政策のもとで、ニカラグアでは貿易特区における若い女性労働者の雇用が増加する一方で、女性の雇用の促進はその対象から排除される年齢層の比較的高い子どもをもつ母親や女性たちは別の労働市場をもとめて隣国のコスタリカへ向かう。結果として、農村での季節労働、都市での家事労働という不安定な労働市場に挿入されている。以上の内容を、論文に作成し、2019年9月出版予定の『越境するラテンアメリカの女性たち』に投稿した。
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