本研究はインド農村部からの労働移動について土地所有と社会階層に焦点を当てて分析を行った。土地所有に関しては、土地所有サイズと労働移動の非線形なU字の関係を明らかにした。社会階層と労働移動の関係に関しては、階層の低い、かつ一般的に所得も低い指定カースト・部族に属する家計は、労働移動を行うインセンティブが高いと考えがちであるが、社会階層と労働移動の関係性は複雑であり、単に所得が低いゆえに労働移動に従事するという単純なものではないことを実証した。また同一社会階層内においても労働移動選好が異なる点を指摘し、職業カースト(ジャート)の違いがその背景にある可能性を示した。
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