20世紀前半のパレスチナ・アラブ人キリスト教徒ジャーナリスト、ナジーブ・ナッサールとイーサー・アル・イーサ-の1910年代~20年代の著作を収集・通読し、その当時における影響力と今日的意義を検証した。パレスチナ・アラブ人の宗教の別を越えた連帯と農業活性化への希求が両名の主張の特徴であるが、その根底には教会への不信感があり、ことにその傾向はアル・イーサーに顕著であることがわかった。今日の教会と信徒の関係にも、彼らの影響が見て取れる。 なお、本研究で同じく検証対象に挙げていたグレゴリオス・ハッジャール大司教については、期間内に有効な資料(当人の手記)を発見することはできず、今後の課題とした。
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