研究課題/領域番号 |
15K01906
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
清水 達也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任調査研究員 (00450510)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ラテンアメリカ / 農業 / 家族経営 / 企業経営 / 経営構造 |
研究実績の概要 |
本年度は、ラテンアメリカにおける近年の農業部門の変化、農業経営体の構造に関する文献調査を主に実施した。 近年の農業部門の変化については、農産物が生産されて食料として消費者に供給されるまでの、生産要素市場、農業生産、農産物市場のそれぞれの段階で大きな変化が起きていることを確認した。具体的には農地流動化の進行、農業向けの資本市場の発達、知的集約的投入財の増加などが挙げられる。農業生産では「経験と勘」から「知識やデータ」にもとづく農業へと変化し、農作業の標準化・細分化・専門家が進んでいる。農産物市場では需要側でスーパーやフードサービスの拡大が見られ、これにあわせてバリューチェーンの統合が進んでいる。 農業経営体の構造については、近年途上国で拡大している経営体が伝統的な家族経営とどのように異なっているかを分析する視点を得るために、2014年の国際家族農業年を契機に見直されている家族経営に関する研究を参照した。ここでは、労働・資本・土地という生産要素の所有、経営主と経営方法(勘と経験か、知識とデータ化)、そして世帯経済との分離(生産する経営体と消費する家計が経済単位として分離しているか)を確認することが有効であることがわかった。また、農業生産では家族経営が優位性を持つとされている点として、自然条件の変化、季節による労働需要の変化、労働監視の費用、世帯経済と融合する強み、勘と経験の継承などが指摘されている。家族経営とは異なる経営体が成長していることに注目するのであれば、近年の農業部門の変化で家族経営が優位であるとされている点がどのように変化したのかを分析する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度に実施していた調査のうち、文献調査は予定通り実施できたが、現地調査(予備調査)が実施できなかった。ただし別の調査で本研究に関わるデータを一部得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査(予備調査)を平成28年度5月末に、現地調査(本調査)を28年末か29年度前半に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に現地調査(予備調査)を実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年5月末に現地調査(予備調査)を実施する。
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